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<コラム>動物病院のこれからを考える 

投稿者:AsaT

近年のペットブームは世界的に広がり、世界中で動物病院や保護施設などが増えています。日本の保健所では狂犬病の予防、殺処分業務のほか、地域猫の対処や動物愛護法改正によりペットに関わる業務が増えています。広い形でペットに対する関心は高まっているのですが、これからの業界の予測はあまり芳しくないのが現状です。

Dr. 小宮山氏のマネージメント講座「日本の小動物病院の今後の動向」によると、動物病院(小動物治療施設)数は大都市に集中して増加しており、獣医師も増えており、女性獣医師が今後も増えることを予測。現状は動物病院の64%は一人獣医師ですが、今後は法人経営が増加する予測になっています。ほかにも、一人当たりの飼育ペット関連支出金は増加する推移が予想されています。

これからは一人獣医診療が淘汰されつつ、法人化によるネットワークとシステム化が予想されます。韓国では24時間診療が常態化されていますが、診療技術が伝承されないことが問題となっており、それはこれからの日本の診療経営の在り方も暗示しています。

「動物病院の 市場 を取り巻く3つの変化」では、犬の飼育数は2008年の13百万頭をピークに減少し、2018年は9百万頭まで減っています。これは犬の飼育主に関しての社会的構造の変化(高齢化、単身世帯の増加、共働き世帯の増加)により飼育数が減るということです。最近はコロナ禍による猫の需要も伸びていますが、反対に増えつつあるペット遺棄の心配もあります。

日本獣医師会が発表した「小動物獣医療の現状と今後の対応(2019年)」では、動物病院の実状は獣医師の獣医学的な知識・技術の研修等インセンティブが高まらず、飼い主の情報不足も指摘されています。その解決方法として、ホームドクターとしての1次診療施設と高度な医療機器や知識を持つ2次診療施設の役割を持つ大学病院や大規模専用病院との連携が模索されていますが、取り組み体制は未整備のままです。

今後は獣医師と動物看護職との連携、知識・技能の高位化の必要性、人獣共通感染症の観点から保健衛生指導を充実させ、「One Health」の考えに基づいて産学官の推進が求められます。

同報告書ではチーム医療体制、地域獣医療のネットワーク体制、生涯研修制度、女性獣医師への支援体制、人材バンク、AI技術の活用等幅広く幅広く提案していますが、これからの道筋として、個々の動物病院と獣医師が自らの課題としてとらえていく必要があるようです。獣医療に関わる病院や施設では、これらの取り組みへの姿勢をアピールすることで、動物病院の顧客確保と信頼感につながることでしょう。


https://www.maff.go.jp/j/council/zyuizi/keikaku/attach/pdf/r1_2-2.pdf

<日本獣医師会資料 令和元年7月23日>

https://vsuccession.com/2019/05/22/change/

<サクセッション 2019/05/22>

http://www.pet-hospital.org/forvets2-1.htm

<Dr. 小宮山氏のマネージメント講座HPより>

<コラム>動物病院のこれからを考える  (写真:PhotoAC)

 

 

 

 


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