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イソフルランによる全身麻酔後に尿糖が検出された犬2例

投稿者:武井 昭紘

糸球体で濾過された血液(原尿)に含まれているブドウ糖は、尿細管で再吸収される。そのため、最終的に体外へと出ていく尿には、ブドウ糖が存在していないのだ。しかし、何らかの原因によって再吸収が上手くいかないトラブルを抱えたり、あるいは、再吸収できる量を超えるグルコースが糸球体を流れると、「それ」は尿中に残留して尿糖になってしまう。例え、その原因が糖尿病でなかったとしてもである。

そのような背景の中、韓国の大学は、外科手術を受けた、つまりイソフルランによる全身麻酔を経験した犬2匹から尿糖が検出されたことを報告した。なお、これらの症例は、正常な血糖値と再吸収能を有しているとともに、腎臓にアプローチしない術式にも関わらず、手術から1日後に尿糖を示したという。そして、その現象は、48時間以内に消失したとのことである。

吸入麻酔薬によって尿細管の機能が低下し、一過性に尿糖が検出されたヒトの例を考慮すると、今回紹介した症例の尿糖もイソフルランに関連して出現したと同大学は述べる。と同時に、イソフルラン以外の処置・手技が、尿糖に繋がったことも否定はできないと主張する。果たして、彼らの体内で何が起きていたのか。また、イソフルランを吸入することで尿糖を示す症例は他にも存在しているのか。今後、これらの謎を解明する研究が進められることに期待している。

外科手術の内容は2例で異なっており、1例は下顎の皮下腫瘤の切除、もう1例は骨折の整復だったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33587300/


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