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化学療法を受けたリンパ腫の犬の体重変化と経過を観察した研究

投稿者:武井 昭紘

オーナーと獣医師が「これからのこと」を話し合うタイミングになるからだろうか、腫瘍性疾患を抱えるペットの予後の評価は、その病気が診断された時と、その病気を治療する前に行われることが多い。しかし、外科手術や化学療法などが思うよに奏効しなかったり、副作用または合併症が重度の場合や、逆に予想以上に効いた場合は、彼らの予後が変わることもある。つまり、治療の途中で、予後を再評価することは大変に重要なこだと言えるのだ。

そのような背景の中、国立台湾大学は、化学療法を受けたリンパ腫の犬80匹以上を対象にして、体重の変化(治療開始から5週間後)と予後の関連性を調べる研究を行った。なお、同研究では、治療開始前の体重から5%以上増減した症例をそれぞれ①増加グループおよび②減少グループに分け、5%未満の体重変化を示した症例を③維持グループとしている。すると、②における無増悪生存期間(progression-free survival、PFS)が、①と③よりも有意に短いことが判明したという。

上記のことから、リンパ腫の犬に化学療法を適応する際は、彼らの体重を測定することで、予後を再評価できるものと考えられる。よって、今後、②に該当してしまう恐れのある症例を認識するためのモニタリング方法が考案され、体重減少を喰い止めた時のPFSの変動を調べる研究が進められていくことに期待している。

生存期間(survival time、ST)につきましては、①③よりも②の方が小さい値ですが、統計学的な有意差は認められなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32654343/


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