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世界で初めて動物用の新型コロナウイルスワクチンを承認したロシア

投稿者:武井 昭紘

3月31日、アメリカの報道機関NBCが、新型コロナウイルスに対するワクチンに関するニュースを報じた。それによると、ロシアが世界で初めて、COVID-19に有効なワクチンを承認したというのだ。このように聞くと変わり映えのしない話だと思う方も多いだろう。ヒト用のワクチンは、既に流通し始めているのだから。しかし、驚くべきことに、同ワクチンはヒト用ではない。動物用として開発されたものなのである。

ロシアは、昨年10月より、動物における新型コロナウイルスワクチンの有効性を検証する臨床試験を行った。その背景には、デンマークで起きたミンクの感染事例が影響しているようだ。実に1700万匹。毛皮を生産する農場で、無数のミンクが殺処分された。そこで、この事例を見たロシアは国内の毛皮産業が打撃を受けること、そして危急種(絶滅の可能性が高い動物種)への影響を恐れ、今回の試験を計画したという。結果、ミンクを始めとして、犬、猫、ホッキョクギツネ、キツネに対する有効性が証明された。つまり、ワクチンを接種したこれらの動物が抗体を産生することが確認されたのである。

果たして、同ワクチンは、いつ頃から流通するだろうか。そして、どれくらいのスピードで世界各地へと普及していくだろうか。新型コロナウイルスの変異株が犬猫に感染する例が報告されている現在。毛皮産業および野生動物の他に小動物臨床へも、「動物用」の新型コロナウイルスワクチンが1日でも早く広がっていくことを願っている。

(画像はイメージです)
今回紹介したワクチンは、Carnivac-Covと名付けられているとのことです。

 

参考ページ:

https://www.nbcnews.com/news/world/russia-registers-world-s-first-covid-19-vaccine-animals-n1262595


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