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若い犬の突然死に関する疫学を明らかにした研究

投稿者:武井 昭紘

突然死(sudden and unexpected death、SUD)。世界保健機関(World Health Organization、WHO)の提唱する定義によれば、暴力に起因しない「発症から24時間以内」の死。それは予期できなかった事だったかも知れない。明日も楽しく幸せなペットライフが続くと信じて疑わなかったかも知れない。しかし、その中で起きてしまった悲劇。そこには、どのような原因があるのだろうか。悲しむオーナーたちの経験から、臨床獣医師が学ぶことは多いのではないかと思われる。

 

冒頭のような背景の中、イタリアの大学らは、子犬のSUDを病理学的および感染症学的に解析する研究を行った。なお、同研究には、若くして亡くなった子犬140例以上が参加しているという。そして、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆子犬のSUDに関する疫学◆
・母集団の約14%(21件)にSUDが発生した
・主な急性症状は、呼吸器または消化管に関連している
・病理学的には、SUD症例の約86%に腸炎、約33%に肺炎が認められた
・最も一般的な感染症は、犬パルボウイルス2型によるものであった

 

上記のことから、呼吸器や消化管に急性症状を呈した子犬は、SUDに陥りやすいことが窺える。よって、彼らが一命を取り留める確率を高めるために、感染症検査を実施して支持療法の必要性を迅速に検討し、腸炎・肺炎の原因とその治療法を探求することが大変重要だと言えるのではないだろうか。

呼吸器・消化管以外に、非特異的症状や神経症状を呈する子犬も居たとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32635305/


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