下部尿路疾患を患った猫の尿道が閉塞(あるいは狭窄)した場合、病態の悪化を防ぐために、会陰尿道瘻術が適応されることがある。しかし、この術式で閉塞や狭窄が完全に解決するとは限らず、それらが再発してしまうこと珍しくない。では、どのような症例が再発しやすいのだろうか。それを明らかにすることは、猫の泌尿器科診療のレベルを向上するキッカケになると思われる。
そこで、イスラエルの動物病院らは、会陰尿道瘻術を受けた猫を対象に、①手術直後と②術後12日目における尿道口の大きさを計測する研究を行った。なお、同研究では、計測に尿道カテーテルが用いられており、尿道口から容易に挿入できるカテーテルのサイズが記録されている。すると、①の時点では中央値10Frだが、②では中央値8Frへと有意に低下することが判明したとのことである。また、①の時点で8Fr以下であった症例が尿閉に陥る確率は40%を超え、8Frより大きかった症例の実に7倍であることが明らかになったという。
上記のことから、手術直後の尿道口に挿入できるカテーテルのサイズは、その後に尿閉(または狭窄)が起きるリスクを把握できる指標となることが窺える。よって、今後、8Fr以上のカテーテルが容易に入る会陰尿道瘻術が考案され、その有用性が検証されていくことに期待している。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32715476/