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猫の月齢に対する心臓の成長を観察した研究

投稿者:武井 昭紘

子犬も勿論だが、子猫の成長は著しい。この前診察した時の幼さから一転して、1-2ヶ月後の診察では、大人びた様子が感じ取れることも屡々だ。顔も、腕も、太ももも、足先も、見違えるほどに大きくなる。これは正に生命の神秘である。果たして、そんな彼らの内臓は、どれ程までに成長するのだろうか。そして、その成長が、どれ程までに検査数値に影響を及ぼすのか。それを明らかにする研究が行われた。

 

なお、研究を発表した欧米の大学らによると、6ヶ月齢の猫24匹を対象にして、超音波検査によって心臓の形態変化を、2つのバイオマーカー(NT-proBNP、IGF-1)の測定によって心臓の成長の度合を、2歳齢になるまで6ヶ月ごとに観察したとのことである。その結果、以下に示す事項が明らかになったという。

◆子猫の心臓の成長◆
・LVPWd、LA、Aoは6ヶ月から12ヶ月齢の間で有意に増加する
・IVSdは6ヶ月から18ヶ月齢の間で有意に増加する
・NT-proBNPは6ヶ月から12ヶ月齢の間で有意に減少する
・IGF-1は6ヶ月から12ヶ月齢の間で有意に増加し、12ヶ月から18ヶ月齢の間で有意に減少する

 

上記のことから、子猫の心臓は、彼らの月齢とともに形を変えながら成長していることが窺える。つまり、子猫の左心室を構成する後壁(LVPW)や中隔(IVS)の測定値が経時的に増加することを、直ちに肥大型心筋症に結び付けるのは尚早と言えるのではないだろうか。よって、今後、彼らの心臓の成長率を加味した、子猫の心エコー図検査の参照値が設定され、それが普及していくことを期待している。

本研究では、子猫の体重、BCS、頭の大きさも測定されておりますので、それらにつきましては論文をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32720562/


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