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世界で初めて肥大性骨症を起こした猫の腎臓腫瘍

投稿者:武井 昭紘

肥大性骨症(Hypertrophic osteopathy、HO)。それは、肺や胸腔の疾患に伴って長骨の骨膜が新生し、四肢に腫脹や疼痛を生じて破行を呈することがある病的現象であり、ヒトおよび犬猫を含めて多種多様な動物で起こることが報告されている。また、猫では、腎臓や副腎の腫瘍、巨大食道症、接種部位肉腫に起因して発症すると言われる。

そのような背景の中、モロッコ政府およびヨーロッパの大学・動物病院らは、HOに罹患した猫の症例報告を行った。なお、同院らによると、症例は10歳の去勢オスで、四肢全てに痛みを訴える慢性的な歩行困難を主訴に来院したとのことである。そして、画像診断の結果、骨盤や四肢の広い範囲に骨膜新生が、右腹部頭側(右腎)に腫瘤性病変が認められたという。

 

この病変は、病変組織検査によって、腎細胞癌であると診断された。

これを受け、同院らは、診察した猫を「腎細胞癌によってHOを発症した世界初の症例」と位置付けた。果たして、本症例と類似の症状を呈する猫は、他にも存在しているのだろうか。破行や四肢の疼痛に苦しむ猫を対象に、腎細胞癌の有無を調べる研究が進められることを期待している。

外科手術によって右腎が摘出されて、本症例の歩行困難(破行)は改善したとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33282332/


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