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猫の腎臓の形態と慢性腎臓病の病態との関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

猫で一般的な泌尿器疾患である慢性腎臓病(chronic kidney disease、CKD)は、国際獣医腎臓病研究グループ(International Renal Interest Society、IRIS)が提唱しているものを代表にして、各種検査の結果によって病期が分類される。しかし、その検査の中に、腎臓のサイズとCKDの重症度を関連付けた指標はなく、両者の関係性は不明である。

そこで、台湾の国立中興大学は、IRISの分類でCKDと診断される猫を対象にして、彼らの腎臓の形態を超音波検査で観察する研究を行った。すると、健康な猫と比べてCKDの猫では腎皮質の厚さが有意に減少し、その減少の程度は、IRIS分類と負の相関関係にあることが判明したという。また、この厚さは、血清中クレアチニン濃度の逆数と正の相関関係にあることが明らかになったとのことである。

上記のことから、超音波検査によって腎皮質の厚さを測定することは、CKDの病期分類(IRIS分類)に応用できることが窺える。よって、今後、この「厚さ」の測定が、IRIS分類に組み込まれることを期待するとともに、血液検査を敬遠するオーナーに提案できる、非侵襲的な検査法として普及していくことを願っている。

腎皮質以外の形態学的データとIRIS分類の関係性につきましては、文献をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32585054/


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