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乳癌を形成する腫瘍細胞の化学療法に対する感受性とミトコンドリア

投稿者:武井 昭紘

乳癌は、犬猫のメスに良く見られ、外科手術や化学療法などによって治療される腫瘍性疾患である。しかし、彼らに適応された各種治療が奏効するとは限らず、再発や予後が不良となる症例が出てしまうことが現状となっている。つまり、なぜ「その治療」が効かないのか、なぜ再発するのかについて研究を続けていくことが、新たな見解を得て治療法を進化させるためには必要だと言えるのだ。

そのような背景の中、イギリスの王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、ヒト・犬・猫から採取された乳癌組織の細胞を電子顕微鏡で観察する過程で、ある発見をしたことを発表した。なお、それは、細胞の核とミトコンドリアの関係性だとのことである。具体的には、癌細胞の中で両者が「接触」しているというのだ。そして、この接触が、化学療法に対する感受性を左右していることが判明したと、同大学は述べる。

果たして、ミトコンドリアは、乳癌細胞にどのような働きかけをしているのだろうか。また、この接触は、人為的にコントロールできるものなのだろうか。今後、更に研究が進められ、化学療法の効果を高める補助療法が確立されていくことに期待している。

細胞内小器官どうしの繋がりを観察することで、様々な「未知の」見解が、これからも生まれていくのかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/research/programmes/comparative-physiology-and-medicine/news/new-research-by-the-rvc-could-hold-key-to-new-treatments-for-cancer-and-neurodegeneration


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