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呼吸器の感染症を発症した保護犬における血清中ビタミンD濃度を測定した研究

投稿者:武井 昭紘

近年、人医療および獣医療において、ビタミンDと様々な疾患・病態との関連性に注目が集まっている。例えば、猫の胆汁うっ滞性肝疾患犬の腫瘍性疾患ICUへの入院を要する犬の疾患などが、それである。つまり、これらの文献を見る限り、ビタミンDの「真」の役割を明らかにすることが、あらゆる疾患を今までとは異なる視点から見つめ直すキッカケになると考えている研究者が多いということだ。

 

そのような中、また一つ、ビタミンD(VD)に関する研究が発表された。なお、発表を行ったアメリカの大学と動物病院らによると、詳細は以下の通りである。

◆シェルターで暮らす犬の呼吸器感染症とビタミンD◆
・140匹以上の犬が参加した(約25%が呼吸器感染症を患っていた)
・健康な犬と比べて、罹患犬の血清中のVD(25 [OH] D)濃度は有意に低かった
・ヘルペスウイルスが陽性の犬は、陰性の個体よりも、VD濃度が有意に低かった
・シェルターに滞在している期間とVD濃度には関連性は認められなかった

 

上記のことから、血液中のVD濃度が低いと、ヘルペスウイルスなどの呼吸器感染症を抱えやすくなることが窺える。果たして、ビタミンDは、どのようにして犬の免疫力を高めているのだろうか。あるいは、どのようにしてウイルスの感染力を抑え込んでいるのか。今後、このビタミンの作用機序が詳細に解析され、犬の呼吸器感染症に対するビタミン療法が確立されていくことに期待している。

シェルターで生活する犬とシェルター以外で暮らす犬との間では、VD濃度に差異がないことも分かっております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33319408/


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