ニュース

筋肉の痙攣を起こした犬における基礎疾患の有無を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

筋肉の痙攣(Muscle cramps、MCs)は、末梢神経が異常な興奮をすることで生じる現象で、罹患犬に痛みを伴う筋収縮(本人の意志とは無関係)を齎すことが知られている。故に、その痛みを取り払って彼らのQOLを向上するために、痙攣を起す原因を突き止めることが重要だと考えられる。

そこで、イタリアのボローニャ大学らは、高次診療施設の神経科医が診察したMCsを呈する犬14匹を対象にして、基礎疾患の有無を確認する研究を行った。すると、約80%の症例(11匹)が低カルシウム血症を有していることが判明し、これらの症例のうち、9匹は原発性上皮小体機能低下症であり、残り2匹がそれぞれ、消化管型リンパ腫とタンパク漏出性腸症であることが明らかになったとのことである。しかし、その一方で、約20%の症例はいずれもジャーマン・シェパードで、彼らが抱える原因は特定されていないという。

原因が特定できた症例群には「それ」に応じた治療を適応するとして、原因不明となったジャーマン・シェパードたちが抱える原因とは、一体何であろうか。ある研究では、同品種の主な死因に起立不能や脊髄疾患が挙げられていることを考慮すると、非常に気になる謎である。よって、今後更なる研究が進み、その謎が解明されていくことに期待している。

本研究の対象になった犬の約60%は痙攣に伴う痛み、約40%は「違和感」を感じていたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33247617/


コメントする