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犬の皮膚病理検査の慣例を視点を変えて「横から見た」研究

投稿者:武井 昭紘

横から見ると三角形。上から見ると正方形。古(いにしえ)からエジプトの地にそびえ立つピラミッドにも使われている四角錐という立体図形は、実に不思議な形をしている。見る角度を変えると三角形に正方形と、まるで違う形になってしまうのだ。そして、筆者は、この三角錐を眺める度に思う。物の見方、つまりは視点を変えることは、目の前に広がる世界をも変える力を有しているのではないかと。

そのような背景の中、イギリスの大学らの研究を見付けた。彼らもまた、視点を変えたという。なお、具体的には、脱毛症に罹患した犬の皮膚組織の病理検査において、物の見方を90度変えたとのことである。要するに、毛包を垂直に切る「従来」の切片とは対照的に、毛包の横断面を観察する(水平に切る)切片を作成したということだ。

垂直と水平。水平断面の切片は、垂直断面を補完するような情報を提示してくれる。研究者は、このように表現する。おそらくは、垂直断面では出逢えなかった見解に、水平断面では出逢えるのだろう。視点を変えると、見える世界も変わる。筆者は、そう信じている。もしも読書の皆様の中に、自分が置かれている世界(環境)を変えたいと願うヒトが居るならば、視点を変えてみると良いかも知れない。

本研究には、毛包や付属器の萎縮、異形成、炎症が疑われる脱毛症を罹患した犬30匹以上が参加しているとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33047299/


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