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ウサギに起きる骨折の疫学を解明しようとした研究

投稿者:武井 昭紘

被捕食者であるウサギは捕食者から逃れるべく、骨の軽量化を実現し、素早い動きや高いジャンプ力を身に着けた。つまり、この軽量化は進化と言えるだろう。しかし、その進化の裏で、彼らは「骨が折れやすい」という特徴を持つようになってしまった。では、果たしてウサギの骨折とは、どのような疫学の基に発生しているのか。それを明らかにする研究は、獣医学の発展に寄与するものと思われる。

 

そこで、スコットランドの動物病院は、四肢の骨折で来院したウサギの診療記録(28症例、30ヶ所の骨折)を統計学的に解析した。すると、以下に示す事項が判明したとのことである。

◆ウサギの骨折に関する疫学◆
・大腿骨を骨折する症例が多い
・次いで、脛骨、中手骨/中足骨/指骨、橈尺骨、足根骨の骨折が並ぶ
・開放骨折は1例のみであった
・2歳未満の個体が75%を占める(25%は6ヶ月未満)
・80%以上の骨折において、原因が不明である(残りは外傷性)
・80%の骨折が治癒した(13%は四肢切断、7%は安楽死)
・30%の骨折に合併症が起きた

 

上記のことから、ウサギの骨折は若い個体に多く、その大部分が原因不明であることが窺える。よって、今後、母集団を大規模化し、骨折の原因を突き止める研究が進められることに期待している。そして、骨折しにくい飼育方法が、世界各地へと広まっていくことを願っている。

本研究では、73%の骨折に外科手術が適応されたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31782172/


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