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ニュージーランドで使用されているFIVワクチンの効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

猫免疫不全ウイルス(feline immunodeficiency virus、FIV)による感染症は、ニュージーランドにおいて一般的であるという。そのため、同国では、FIVワクチンを接種する猫が多いとのことである。しかし、ここに問題点が横たわっている。ワクチンはサブタイプAおよびDに対するものである一方、野外株はサブタイプCなのだ。そこで、一つの疑問が湧いてくる。果たして、ニュージーランドで流通しているワクチンは、予防効果を発揮しているのだろうか—–。

 

そのような背景の中、マッセー大学は、屋外と屋内を行き来する猫180匹以上を対象にして、FIVワクチン接種歴(①未接種群、②接種群)とFIV感染の実態について調査する研究を行った。なお、感染の有無は、PCR法によってプロウイルスを検出することで確認されている。すると、①では約9%、②では約18%の個体が、FIVに感染していることが判明したとのことである。

上記のことから、ワクチンに感染を予防する効果は無いことが窺える。だが、大学は述べる。『ワクチンは、FIV感染症の病態進行に影響を与えた可能性がある』と。その可能性とは、どれ程のものか。今後、検証が進み、FIVワクチン接種の是非について議論が深まることに期待している。

接種群の感染率を鑑み、大学は、毎年のワクチン接種の前にFIVの感染をチェックすることが望ましいと訴えております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33045631/


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