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トラゾドンを直腸から投与して犬の鎮静を試みた研究

投稿者:武井 昭紘

人医療において抗うつ薬(セロトニン2受容体拮抗および再取り込み阻害薬、serotonin 2 antagonist and reuptake inhibitor、SARI)として処方されているトラゾドンは、犬のストレスを軽減する効果やイソフルランの最小肺胞濃度を低下させる効果を有しており、小動物臨床への応用が期待されている薬剤の一つとなっている。しかし、同薬剤の剤型は錠剤のみであり、投与経路が限られているのが現状である。つまり、経口投与ができない症例への適応や前投与薬としての使用を考えると、新たな投与経路を模索する必要があると言える。

そこで、カリフォルニア大学付属動物病院らは、臨床上健康な犬を対象にして、直腸内投与されたトラゾドンの薬物動態と効果を調べる研究を行った。すると、最大血中濃度に達する時間が15分、半減期が12時間で、軽度から中程度の鎮静が30分継続することが明らかになったとのことである。

上記のことから、トラゾドンは直腸から投与することで、鎮静効果を発揮することが分かる。よって、今後、用量を設定する研究が進められ、犬たちの不安(ストレス)を軽減し、安全な麻酔を実現する薬剤として、トラゾドンが小動物臨床に浸透していくことに期待している。

本研究では、約8mg/kgで投与されているとのことです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/ajvr.81.9.739


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