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猫の麻酔を安定させるアルファキサロンの投与方法を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

体温
呼吸数
心拍数
血圧
動脈血酸素飽和度 etc

動物に麻酔をかける上でチェックをするべき項目は多い。そして、そのどれもが安定していて欲しいと、多くの獣医師が願っていることだろう。しかし、思うように安定しないということは少なくない。果たして、何か良いアイデアはないものか—–。

 

そのような背景の中、北米の獣医科大学らは、臨床上健康な猫の麻酔を安定させるアルファキサロンの投与方法について検証する研究を行った。なお、同研究では、①0.25 mg / kgで60秒間アルファキサロンを投与した群と、②アルファキサロンの代わりに生理食塩水を投与した群において、麻酔中の経過がモニタリングされている。また、いずれの群にも、60秒間の投薬に続いて、0.5 mg / kg / minの用量でアルファキサロが投与され、気管内挿管が実施されている。すると、②に比べて①では、アルファキサロンの総投与量が有意に減少するとともに、平均動脈圧が高く維持できることが判明したとのことである。また、①では、呼吸が停止したり、SpO2が90%未満に低下する例が無かったという。

 

上記のことから、60秒間のアルファキサロンの投与(本研究ではpriming doseと称される)は、猫の麻酔を安定させる効果があるものと思われる。よって、今後、麻酔処置を要する何らかの疾患を抱える猫を対象にした同様の研究も実施され、priming doseの有用性が更に突き詰められていくことに期待している。

本研究では、デクスメデトミジンとメタドンの筋肉内投与で猫を鎮静したとのことです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/ajvr.81.11.850


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