「てんかん」を含めて、繰り返し発作を起こす神経系疾患(recurrent seizure disorders、RSD)は、小動物臨床で比較的よく遭遇する病気である。しかし、犬と比べて猫では、その疫学の詳細が分かっておらず、これからの獣医学が解明するべき課題となっている。
そのようは背景の中、イギリスの大学らは、大規模症例データベースVetCompassを用いて、猫のRSDおよび「てんかん」に関する疫学を統計学的に調べる研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。
◆猫のRSDおよび「てんかん」に関する疫学◆
・28万匹を超える症例が参加(280以上の動物病院から提供された診療記録)
・RSDを罹患した症例は450件以上であった
・そのうち、約25%が「てんかん」と診断されていた
・加齢が、RSDの発症リスクを上げている(1歳齢~中年齢の猫で最も一般的)
・3歳~6歳未満の猫は、3歳未満の猫に比較して約3.3倍、RSDになりやすい
上記のことから、年齢を重ねることは、RSDに罹患するリスクファクターになっていることが窺える。よって、3歳以上の猫を診察(健康診断や予防接種時の診療を含む)する際には、RSDの有無を確認する問診を実施することが望ましいと考えられる。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32974979/