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脾臓摘出術に合せて生検された肝臓組織の病理検査結果に関する研究

投稿者:武井 昭紘

超音波検査などで犬の脾臓に腫瘤病変を発見した場合、脾臓の摘出をオーナーに提案する獣医師は少なくないものと推察する。そして、実際に手術に臨んだとする。その時、脾臓ではない臓器、例えば肝臓に異常な所見が認められたら、どのような対応をとるだろうか。肝臓の生検を検討するだろうか—–。

 

そのようは背景の中、アメリカおよびオーストラリアの大学・動物病院らは、脾臓摘出手術(脾臓に腫瘤あり)を適応した犬のうち、肝臓の生検が実施された症例110件以上を対象にして、彼らの肝臓の状態と病理検査結果について統計学的に解析する研究を行った。すると、①肝臓に異常な所見が無い犬の2.5%、②異常な所見が有る犬の約29%で、腫瘍が認められることが判明したという。

約16倍。

①に比べて、②において肝臓腫瘍と診断される可能性は非常に高いという結果になった。つまり、脾臓摘出手術の際、肝臓に異常な所見がみられるのならば、肝生検をすることが望ましいと言える。果たして、経験則から得られる皆様の印象は、どうであろうか。今までの経験に本研究のデータを加えて、肝生検の是非を検討して頂けると幸いである。

今回紹介した研究では、血腹を起こした症例では肝臓に腫瘍がある可能性が上がることも分かっております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33035380/


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