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断尾された猫に起きた直腸の変位を修復した外科手術

投稿者:武井 昭紘

ドイツはバーベンハウゼン。
そこに拠点を構える動物病院(AniCuraグループ)に、臀部の皮膚が壊死した猫が運ばれてきた。
良く見れば、尾が切断された痕がある。
オーナーが言うには、交通事故で損傷した尾を切断したというのだ。

 

臨床検査(X線検査を含む)を行ったところ、直腸の背側変位と直腸周辺(詳細は文献をご参照下さい)の筋肉が切除されていることが判明。直腸は拡張し、糞塊で満たされていた。しかし、幸いなことに、神経学的検査では異常を認めなかったとのこと。

そこで、同院は、半腱様筋の転位によって、直腸の変位を修復しようと試みた。筋肉が切除されたことによって生まれた空隙(スペース)を埋めようと考えたのだ。その結果、本症例の猫は、順調に回復したという。また、2年間の経過を追跡し、半腱様筋の転位に伴う跛行も呈することはなかったようである。

 

『知る限り、このような事例は報告されていない。』
論文の著書は、述べる。

交通事故に対する治療として、尾の切断は必要な処置だったのかも知れない。しかし、そこには、「直腸の変位」というリスクが潜む。よって、今回紹介した症例をキッカケに、その変位を防ぐ術式が明文化されていくことに期待している。

本症例には、「しぶり」もあったとのことです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.256.12.1375


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