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抗生剤に依存しない2つの外耳炎治療薬の効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

近年、抗生剤の不適切な使用または乱用によって、人医療においても、獣医療においても、耐性菌が多く出現している。そのため、抗生剤を適切に使うためのガイドラインも作成されているのだ。しかし、実際のところ、ガイドラインだけでは限界があるというのが現状ではないだろうか。つまり、おそらくは、「その先」が必要なのだと思う。抗生剤に代わる治療法の確立が—–。

 

そのような背景の中、スペイン北部に位置するレオン大学は、シェルターに収容された外耳炎の犬を対象にして、ある2つの点耳薬の有効性を検証する研究を行った。なお、2つの点耳薬には抗生剤が含まれておらず、一つはクロルヘキシジンとTris-EDTA、もう一つは医療用ハチミツが主成分だとのことである。そして、以下に示す事項が明らかになったという。

◆抗生剤に依存しない2つの外耳炎治療薬の効果◆
・症例数は26件(耳の数としては24個)
・左右の耳にそれぞれ、異なる点耳薬を10日間適応した
・両点耳薬とも、臨床スコアおよび微生物の数が減少させる効果を示した
・75%の耳において、外耳炎による痛みが消失した

 

上記のことから、2つの点耳薬の有効性が確認されたものと考えられる。よって、今後、母集団を増やした大規模な臨床試験が計画され、これらの点耳薬の用法・用量が決められていくとともに、その使用が禁忌となる症例が詳らかにされていくことに期待している。そして、この抗生剤に依存しない外耳炎治療が、耐性菌と闘わない未来に繋がることを願っている。

加療後に痛み(痒み)が残っていた耳は、全体の約8%のみだったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32716068/


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