ニュース

血液型がABの猫に起きていた溶血性疾患の原因

投稿者:武井 昭紘

『この猫は、AB型。』

血液型検査結果が、そう示された。その時、猫は重度の非再生性貧血、高ビリルビン血症、ヘモグロビン血症にヘモグロビン尿を呈していた。原因は、輸血副反応。輸血から1日経過した時点で発症したようだ。また、誠に残念ながら、同症例の輸血療法では、適合試験(クロスマッチ)は実施されていなかったという。

 

そこで、診察にあたったアメリカの大学らは、再度の輸血に備えてクロスマッチを行った。
すると、『この猫は、B型』。
血液型検査とは異なる結果となった。
謎が深まる。
読者の皆様は、この事態を、どのように捉えるだろうか。

 

同症例は、時間経過とともに、血液型検査でもB型になったという。そして、ドナーの血液細胞が取り除かれると、貧血は解消されたとのこと。加えて、後に、A型の猫から採取した血液を輸血されていたことが判明した。

大学らは、「これが、一過性のAB型になった猫に関する最初の報告だ」と述べる。
とともに、輸血前の血液型検査やクロスマッチの重要性を訴える。

 

不適切な輸血療法は、世界各地、どこででも発生し得る医療過誤である。つまり、一過性のAB型になってしまう猫たちは、同症例以外にも存在しているのか知れない。よって、今回紹介した報告から学べることを一人ひとりの獣医師が感じ取り、犠牲となる猫が1匹でも減ることを願っている。

本症例が、もともと罹患していた貧血の原因は不明だとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32141165/


コメントする