近年、去勢・不妊手術のタイミングと、手術後に発症する肥満、関節のトラブル、腫瘍との関連性が注目を浴びている。そして、その発症リスクを鑑みて、「生後6ヶ月頃までに手術を受ける」という概念が見直されつつあるのだ。しかし、見直しが完了して、新たな概念が世界共通の認識なるまでには、更なる研究が必要なようである—–。
そのような背景の中、カリフォルニア大学は、体重および性別によってグループ分けした混血種の犬を対象にして、去勢・不妊手術のタイミングと、その後に起きる関節のトラブル(股関節形成異常、前十字靭帯断裂、肘異形成)と腫瘍(リンパ腫、マスト細胞腫瘍、血管肉腫、骨肉腫)の発症リスクを明らかにする調査を行った。すると、腫瘍の発生に差異は認められないものの、手術を受けていない群に比べて、1歳までに手術を受けた体重20kg以上のグループは3倍、関節のトラブルを抱えやすいことが判明したとのことである。
上記のことから、手術のタイミングの見直しは、福祉上の観点からも、獣医学的にも、大変に重要なことだと思われる。よって、今後、更なる研究が進み、理想的なタイミング(手術をしないことが理想になる犬種も居るかも知れない)について規格化・標準化されていくことに期待している。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32851043/