ニュース

polyautoimmunityの様相を呈した皮膚疾患を発症した犬2例の報告

投稿者:武井 昭紘

polyautoimmunity。
敢えて、日本語に訳すとなれば、多自己免疫。
それは、同一の個体が複数の自己免疫疾患を同時に抱える状態を指している。
そして、この現象は、人医療において「既知」の事実のようなのだ。

 

冒頭のような背景の中、polyautoimmunityとなった犬の症例が報告された。なお、報告を上げたノースカロライナ州立大学によると、ジャーマン・シェパード・ドッグ(10歳、避妊雌)およびアメリカン・スタッフォードシャー・テリア(8歳、去勢雄)が、顔面や四肢に膿疱、体幹に鱗屑を伴う局面を主訴に来院したとのことで、その診察をしたところ、病理検査にて落葉状天疱瘡(pemphigus foliaceus、PF)と全身性円板状エリテマトーデス(generalized discoid lupus erythematosus、GDLE)に一致する病変が確認されたという。

 

『両疾患を併発した犬の症例は報告されたことがない。』
同大学は、このように述べる。

果たして、自己免疫疾患を抱えている犬において、polyautoimmunityはどれ程の頻度で発生しているのか。今後、その疫学・実態を明らかにする研究が進められ、犬の皮膚科診療のレベルが更に向上していくことに期待している。

今回紹介した症例らは、プレドニゾロンあるいはシクロスポリンの投与によって寛解したとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32342582/


コメントする