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変性性関節症に罹患した犬5例に適応された多血小板血漿療法

投稿者:武井 昭紘

肘、膝、股関節などに発生する変性性関節症(osteoarthritis、OA)は、罹患犬に慢性的な疼痛を与える整形外科疾患である。そのため、このOAに対する治療の主眼は、彼らの感じている「痛み」を緩和させ、歩行をサポートすることとされている。しかし、内科療法や理学療法など、既存の治療法に反応しない症例が存在しているの現状であり、このような症例に適応できる治療法を確立し、その有効性を検証していくことが獣医学の課題となっている。

そこで、ポルトガルの獣医科大学らは、OAに罹患した犬の関節に多血小板血漿(platelet-rich plasma、PRP)を投与する研究を行った。なお、同研究に参加した罹患犬は、リンク先の文献に記された様々な治療に反応しない症例で、用いられたPRPは症例から採取したとのことである。すると、投与から60日後には、全症例にて、①常足および速足の際に観察される跛行のグレードと②疼痛スコアが減少することが明らかになったという。

上記のことから、PRP療法は、既存の治療法に抵抗を示すOAの犬に有効だと考えられる。よって、今後、OA症例が多く訪れるであろう一般の動物病院でもPRP療法が実践できるように、PRPの作製から投与方法、加えて、投与後の評価方法に至るまでがガイドライン化されていくことに期待している。

本研究には5匹のOA症例が参加しており、PRP投与90日後には2匹が跛行しなくなり、3匹から疼痛が消失したとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32821667/


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