ニュース

外科手術を受けた腸重積の犬における疫学を明らかにした研究

投稿者:武井 昭紘

腸重積は、下痢、異物、腫瘍などの原因によって、あるいは、特発性に腸の中に腸が入り込む病態のことで、嘔吐、腹痛、食欲不振を呈する消化器疾患である。故に、当該疾患は、重積を解除するための外科手術をもって治療されるのが一般的だ。つまり、周術期の合併症や腸重積の再発には充分な注意を払う必要があり、それらの実態をデータ化することは、大変に有意義であると考えられる。

 

そのような背景の中、北米の大学らは、外科手術を受けた犬の腸重積症例150件以上を対象にして、疫学を解明する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆外科手術を受けた犬の腸重積症例における周術期の特徴◆
・症例の年齢は、中央値10ヶ月であった
・回腸から結腸に移行する部位に重積が最も多く起きていた
・60%を超える症例で原因は特定できなかった
・腸を切除した症例は、全体の80%以上であった
・7%の症例に術中の合併症(用手による重積の整復に伴う腸の損傷)が起きた
・術後の合併症は症例の35%に起きた
・4%の症例が再発した
・術後14日までの死亡率は、6%であった

 

上記のことから、仮に原因が不明であっても、腸重積に対する外科手術を施せば、多くの症例の経過が良好になることが窺える。よって、本研究を基に、①合併症が起きる、あるいは、②死の転帰となる要因について解析され、①②を防止する術式が考案されていくことを期待している。

術後の合併症は、下痢、腸内容物の逆流、腹膜炎だったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32415881/


コメントする