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ハリネズミを触ったヒトに起きるサルモネラ感染症に警鐘を鳴らすCDC

投稿者:武井 昭紘

針のように鋭い被毛を持ちつつも、丸くなる姿が非常に可愛らしいハリネズミは、カフェのマスコットになる程、あるいは、テレビで特集が組まれる程に人気が高い。無論、筆者も、その魅力に惹かれてしまう人間の一人である。しかし、9月30日にアメリカ疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)が発表した調査結果によると、どうやら彼らとの触れ合いには注意を払う必要がありそうなのだ—–。

 

この調査のキッカケは、今年4月に報告が上がったヒトのサルモネラ感染症事例だという。そして、その勢いは現在もなお続いている。9月22日の時点で32名。アメリカ合衆国を構成する17州に跨ったアウトブレイクだ。感染者に共通していることは、ハリネズミに触ったこと(話が伺えたヒトの実に70%)。また、彼らが飼育するハリネズミたちからは、病原体と思しき株が検出されたとのことである。

これを受け、CDCは、以下のように注意喚起を促す。

・ハリネズミの糞にサルモネラ菌が存在している
・この菌はハリネズミの体に付着し、行動範囲にあるオモチャや寝具に拡散する
・そして、菌がヒトとの手に付き、その手で顔や口を触ると感染が成立する
・5歳未満の子供、65歳以上の高齢者、免疫力が低下したヒトの感染リスクは高い
・故に、生活環境を清掃・消毒することが大切である

 

サルモネラ感染症は、細菌に感染して6時間~6日の内に下痢、発熱、腹痛を生じて、その症状は4〜7日間ほど続く。しかし、大部分の人は無治療で回復する。だが、感染リスクの高いヒトは重症化する場合もある。よって、ハリネズミを彼らの一生涯に渡って愛するためにも、各家庭にて感染症対策を講じることが大変に重要なのではないだろうか。

今回のアウトブレイクでは、1歳未満から61歳までの幅広い年齢層のヒトが発症し、その56%は女性だとのことなので、獣医師・動物看護師も、ハリネズミを診察する時は注意を払いましょう。

 

参考ページ:

https://www.cdc.gov/salmonella/typhimurium-09-20/index.html


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