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慢性腎臓病の犬における血清中・尿中αクロトー濃度を測定した研究

投稿者:武井 昭紘

αクロトー(α-klotho)。
それは、腎臓でのリンの代謝に関与するタンパク質で、慢性腎臓病(chronic kidney disease、CKD)を患ったヒトの血液や尿中で濃度が低下することが報告されている物質である。そこで、ある疑問が頭に浮かぶ。

『犬のCKDでは、ヒトと同様の現象が起きているのだろうか。』

そして、ここに一つの回答を示した研究がある。

 

なお、研究を発表した韓国の獣医科大学らによると、CKDの犬から採取した血液および尿サンプル中に含まれるαクロトー濃度を測定したところ、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆CKDの犬における血清中・尿中αクロトー濃度測定の臨床意義◆
・尿中αクロトー/クレアチニン比(UrKl/Cr)は、対照群と比べて、ステージ3のCKD群で有意に低い
・UrKl/Crは、ステージ1および2のCKD群と比べて、ステージ3および4のCKD群で有意に低い
・UrKl/Crは、SDMA(血清)、BUN、CRE、P(リン)と負の相関関係にある
・血清中αクロトー濃度は、対照群と比べて、ステージ2および3のCKD群で有意に低い
・血清中αクロトー濃度は、SDMA、BUN、CRE、Pと相関関係にない

 

上記のことから、UrKl/Crは、CKDのステージ3および4を識別する指標になり得ることが窺える。よって、今後、UrKl/Crの参照値が設定され、犬のCKDのステージング、治療方針の決定、病態の理解に活用されていくことに期待している。

αクロトー濃度は、市販のキットで測定されたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32677951/


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