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フェノバルビタールを投与された猫に起きた世界初の副作用

投稿者:武井 昭紘

「てんかん」に起因した発作を抑える治療薬の一つとして、フェノバルビタールという薬剤がある。しかし、この薬の服用には、肝障害を含めて、様々な副作用の発現が伴うことが知られており、以前、本サイトでも、「犬の偽リンパ腫」について紹介させて頂いた。そして、この度また一つ、報告の上がっていない世界初の副作用が猫で確認された。

なお、論文を発表したブリストル大学によると、発作の治療のためにフェノバルビタールを投与されていた去勢オスの猫が、治療開始から6ヶ月が経過した時点において、汎血球減少症を呈したとのことである。加えて、投与する薬剤をレベチラセタムに切り替えてから10週間ほどで、当該症状は解消されたというのだ。

上記のことから、同大学は、本症例をフェノバルビタール誘発性汎血球減少症と位置づけ、この薬剤で長期的な発作のコントロールをしている猫では、定期的なCBCを実施することが望ましいと訴え掛けている。果たして、フェノバルビタールの投与に伴って汎血球減少症を発現した猫は、本症例以外にも存在しているのか。今後、発作を治療をしている猫を対象にして、有病率を算出する研究が進められていくことに期待している。

現在、お心当たりのある症例を診察している獣医師は、フェノバルビタールをレベチラセタムに切り替えること検討されても良いかも知れません。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32528719/


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