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犬はオーナーの鏡~犬とオーナーが曝露されている物質の解析~

投稿者:武井 昭紘

『似ているな』

動物病院を訪れるオーナーと動物を見比べて、時折、このように感じる獣医師・動物看護師は少なくないだろう。ヒトと動物で遺伝子学的な差異があるものの、生活環境が同じだと、こうも似てくるものかと筆者も感じることがある。とここで、獣医師の視点から、ふと疑問が湧く。性格や雰囲気が似ていること以外に、彼らの共通点はあるのだろうか。そして、それは、両者の健康に悪い影響を及ぼすことはないのだろうか—–。

そこで、本稿では、ノースカロライナ州立大学とデューク大学が行った、ある研究を紹介したい。

 

なお、大学らによると、30組の犬とオーナーに、環境中の化学物質を吸着するシリコンタグを5日間付けてもらい、そのタグに付着した農薬、難燃剤、フタル酸エステル(食品包装などに使われる素材)の有無を分析したところ、両者の曝露レベルに高い相関が認められたとこことである。

果たして、この事実は、獣医学的あるいは医学的に何を意味しているのか。難燃剤は甲状腺疾患の発症に関与していると言われていることを念頭に置くと、これらの物質が、彼らの健康面に被害を齎している可能性はあると考えることもできる。よって、今後、本研究が発展を遂げ、環境中の化学物質による犬とオーナーの健康被害が詳細に解析されていくことに期待している。

本研究では、犬とオーナーの尿検査も実施されており、両者のサンプルから有機リン酸エステルが検出されているとのことです。

 

参考ページ:

https://news.ncsu.edu/2020/06/dog-environmental-sentinel/

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32401030/


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