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猫の下部尿路疾患における再発の実態を明らかにした研究

投稿者:武井 昭紘

猫の下部尿路疾患(Feline lower urinary tract disease、FLUTD)は、排尿困難、頻回尿、血尿、不適切な排尿、排尿時の喘ぎ声などの臨床症状によって特徴付けられる泌尿器の病気で、再発の有無と「その頻度」が、罹患猫およびオーナーのQOLを悪化させることが知られている。故に、FLUTDに対する診療のレベルを向上するためには、再発の実態を把握して予防対策を講じることが重要であるとされているのだ。

 

そのような背景の中、ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンは、過去2年間におけるFLUTD症例101件のオーナーを対象にして、再発に関するアンケート調査を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆FLUTD症例における再発の実態◆
・52件は特発性膀胱炎、21件は尿石症、13件は細菌性感染症と診断された
・残りの15件には、確定診断が出されていなかった
・確定診断が下された症例(86件)の約58%が再発を経験していた
・経過を観察した期間(中央値38ヶ月)で1回再発した例が21件、2回再発が12件、3回再発が10件、4~8回再発が7件であった
・予防策を講じている症例は、講じていない症例よりも、再発する確率が有意に低かった

 

上記のことから、症例の半数以上が再発を経験し、予防策が再発を抑えることが明らかになった。よって、今後、本研究のアンケート結果を基にして、再発を抑える予防策と何か、再発する症例の特徴とは何かについて更なる研究が進み、FLUTDに対する治療法がより一層改良されていくことに期待している。

本研究におけるFLUTDの死亡率は、5%であったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31322040/


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