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VetCompassが明らかにしたジャーマン・シェパード・ドッグの疾患に関する疫学

投稿者:武井 昭紘

ジャーマン・シェパード・ドッグ。

この犬は、命令に従う服従心と、仲間を守ろうとする意思の強さを併せ持ったドイツ原産の大型種である。それ故、警察犬として活躍するばかりでなく、家庭犬としても根強い人気を誇っている。しかし、その裏には、品種特有の暗い影が潜むことが知られる。起立困難、股異形成、慢性表在性角膜炎、免疫が介在した膿皮症など、様々な疾患に罹りやすいのだ。そして、不幸にも罹患した個体には、安楽死という末路が待っている場合もある。果たして、彼らの健康を維持し、福祉を向上させるヒントは一体、何処にあるのか。それを探し出すのが、今後の獣医学の課題と言える。

 

そこで、王立獣医科大学は、ジャーマン・シェパード・ドッグが罹患する疾患に関する疫学を明らかにする調査を行った。すると、以下の事項が明らかになったとのことである。

◆ジャーマン・シェパード・ドッグの疾患に関する疫学◆
・約12000匹の診療記録を解析した
・主な死因は、関節疾患、起立不能、腫瘍、脊髄疾患である
・関節疾患、起立不能、脊髄疾患が死因の約半数を占める
・5.5%の個体が関節炎、2.8%が跛行、2.7%が股異形成に罹患している

 

上記のことから、腫瘍を除けば、関節または神経系のトラブルがジャーマン・シェパード・ドッグの福祉を悪化させているものと考えられる。よって、今後、品種の特徴でありつつも、起立困難の原因となっているであろう「腰の低さ」を是正する繁殖計画を立てるなど、彼らの死因から関節疾患・神経疾患を排除していくような対策が考案されることを願っている。

本研究では、約8%の個体が外耳炎になっているというデータも得られたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/Media/Default/VetCompass/200610%20GSD.pdf


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