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麻酔下の猫の体温が低下するのを防ぐラッピングに関する研究

投稿者:武井 昭紘

『体温が下がってきたな』

麻酔下にある動物をモニタリングしながら、そう思ったことのある獣医師・動物看護師は多いものと推察する。この時、皆様は、どのように体温の維持を図るだろうか。保温機能のある医療機器を使うだろうか。温めた液体の入った輸液パックを使うだろうか。それとも、他に良いアイデアを持って実践しているだろうか—–。

 

この度、日本、アメリカ、ニュージーランドの大学らは、麻酔下にて卵巣子宮全摘出術を受けている猫16匹を対象にして、ある素材の保温効果を検証する研究を行った。なお、大学らによると、ある素材とは、①宅配物の梱包などに使用するプチプチ(エアクッション)と②水分を吸収する性質を持ったパッドで、これらを2層にして猫の胸部と四肢に巻き付けて、体温の変化を観察したとのことである。その結果、手術開始時点およびイソフルランの吸入を終えた時点において、①②を巻き付けたグループの体温は、巻き付けていないグループと比べて、高かったという。

 

上記のことから、①と②の2層構造には、麻酔下の動物の体温を維持する効果があると考えられる。よって、保温機能のある機器が故障した時や、それらの設備に投資する経費が無い場合には、今回紹介した手法を試してみても良いのではないだろうか。

本研究では、①②を巻き付けた猫は覚醒するまでの時間が速いということも分かっております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32495724


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