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子宮蓄膿症の犬の血漿中に含まれるタンパク質を分析した研究

投稿者:武井 昭紘

不妊手術を受けていないメス犬が罹患する一般的な病気の一つに、子宮蓄膿症が挙げられる。また、この病気は文字通り、子宮に膿が貯まる生殖器の疾患であるが、最終的にはそれだけに留まらず、子宮で起きた炎症が全身の臓器に波及し、致死的な経過を辿ることのある多臓器不全に発展することが知られている。そのため、当該疾患の早期発見・早期治療は大変重要とされているのだ。しかし、オーナーが愛犬の異変に気が付くタイミングや臨床検査を実施した際の病態によっては、早期発見が叶わないことが少なくないのが現状である。

 

そのような背景の中、世界各地の獣医科大学らは、子宮蓄膿症を発症した犬の血漿中に含まれるタンパク質の定量的な解析をする研究を行った。すると、臨床上健康な個体と比較して、以下に示すタンパク質のアップレギュレートまたはダウンレギュレートが起きていることが判明したとのことである。

◆アップレギュレートしているタンパク質の一例◆
・ハプトグロビン(軽鎖)
・α1酸性糖タンパク質
・C反応性タンパク質(前駆体)
・リポ多糖結合タンパク質

◆ダウンレギュレートしているタンパク質の一例◆
・トランスサイレチン
・アンチトロンビンIII
・レチノール結合タンパク質
・ビタミンD結合タンパク質
・パラオキソナーゼ-1
・カリクレイン

 

上記のことから、子宮蓄膿症を抱える犬の血漿に含まれるタンパク質の濃度は、大きく変動していることが窺える。よって、本研究を基に、子宮蓄膿症の早期発見(確定診断)を実現する血液検査が確立し、1日でも早く商業化されることに期待している。

アップレギュレートしているタンパク質は16種類、ダウンレギュレートしているタンパク質は22種類、検出されたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32416315


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