ニュース

喉頭麻痺の犬を救うために実施された喉頭部におけるステント留置術

投稿者:武井 昭紘

(後天性の)喉頭麻痺は、高齢の中型~大型犬に起きる末梢神経の障害で、披裂軟骨や声帯の動きが異常となり、喉頭は狭窄し、呼吸困難を呈する病気である。そのため、罹患個体には、外科手術(気管切開術、片側披裂軟骨側方化術など)によって治療を施すことになるのだが、手術後の合併症に誤嚥性肺炎が待ち構えているという現状もある。

そのような背景の中、アルゼンチンのブエノスアイレス大学および動物病院らは、当該疾患を抱える犬7匹にシリコン製の喉頭ステント(Stening®)を適応する研究を行った。すると、3例は7~85日以内に安楽死となった一方で、残りの4例(約57%)は、12ヶ月以上生存することが判明したとのことである。

上記のことから、シリコン製の喉頭ステントの留置は、外科手術以外の応急処置として、また、外科手術の代替となる治療法として、有用であることが窺える。よって、今後、この喉頭ステントが外科手術に取って代わる治療法となる症例を判別するガイドラインを作成するための追加研究が実施され、喉頭麻痺で苦しむ多くの犬の命が救われる未来が訪れることに期待している。

最長で、喉頭ステントの留置から30ヶ月生存している症例が居るとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32426250/


コメントする