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猫および小型犬のメスに向けて開発された新しい尿道カテーテル法

投稿者:武井 昭紘

『カテテーテルを用いてメスの犬や猫から採尿することが難しい』

時折、このような悩みを新人獣医師から打ち明けられることがある。おそらく、これは、オスの個体と違って、メスの外尿道口が「外陰部の奥」で開口していることが大きな原因であろうと思う。そして、悩める獣医師たちは、膣鏡を使って外尿道口を目視するにしろ、盲目的にカテーテルを尿道に挿入するしろ、「カテテーテルが子宮頚管に入ってしまうこと」を非常に強く心配しているのだ。

そこで、この悩みに対して、ある一つの回答を示した研究を紹介したい。

 

なお、結論から述べるが、研究を発表したオハイオ州立大学よると、子宮頚管と外尿道口の両方にカテーテルを入れる「2カテーテル法」によって、最初に子宮頚管へカテーテルを入れれば、必然的に2本目のカテーテルは外尿道口に向かって進んでいくとのことである。具体的には、同手法の経験がある外科認定医、それが無い認定医、インターン獣医師の3名が2カテーテル法を実践したところ、①従来の尿道カテーテル法での成功率が約43%であったの対し、②2カテーテル法の成功率は約80%にまで上昇するとともに、①と②の所要時間には有意差が認められなかったというのだ。

上記のことから、2カテーテル法は、冒頭に記した悩みや心配を解消する有用な手法であると言える。よって、『カテテーテルを用いてメスの犬や猫から採尿することが難しい』と感じている新人獣医師は、是非、同手法を試して頂けると幸いである。

本研究に参加した個体は全て未不妊メスだとのことなので、不妊メスにおける2カテーテル法の成功率についても検証されることに期待します。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/ajvr.81.5.448


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