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熱中症になりやすい犬種の特徴を明らかにした研究

投稿者:武井 昭紘

曇りや雨でスッキリしない天候になりやすい梅雨を迎え、夏の影が近付くのを感じる。今年も、また、現実とは信じ難い暑い日の連続の中で、熱中症に細心の注意を払うべき季節がやってきたのだ。無論、ここで言う「注意を払うべき」は、ヒトのみではない。皆様の近くに佇むペットも同様である。そこで、本稿では、イギリスの王立獣医科大学(RVC)が運営する大規模臨床データベースVetCompassが明らかにした、熱中症に関する疫学を紹介したい。

 

なお、同大学(ノッティンガム大学との共同研究)によると、90万匹を超える犬の診療記録を解析し、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆犬の熱中症に関する疫学◆
・発生件数は1200件以上である(1年間に400匹が発症)
・ラブラドールレトリバーと比較して短頭種が熱中症に罹患しやすい
・その倍率は、チャウチャウ17倍、ブルドッグ14倍、フレンチブルドッグ6倍、マスティフ5倍、パグ3倍であった
・標準を超える体重の、あるいは、2歳齢以上の個体は熱中症に罹患しやすい
・筋肉の発達した品種は熱中症に罹患しやすい
・属する品種の標準的な体格よりも大きい個体は熱中症に罹患しやすい

 

この結果を受け、RVCは、短頭種の熱中症に対して注意喚起をしている。また、1200という発生件数は氷山の一角だと述べる。つまり、獣医師の診察が叶わなかった熱中症症例が無数に存在しているというのだ。

熱中症は、重症の場合、亡くなることもある病気である。
今回紹介した研究が1人でも多くのオーナーに伝わり、犬の熱中症について、世間における理解が深まることを願っている。

熱中症になりやすい短頭種以外の犬種につきましては、リンク先をご覧頂けますと幸いです。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/vetcompass/news/flat-faced-dogs-such-as-bulldogs-french-bulldogs-and-pugs-at-increased-risk-of-heat-stroke


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