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アトピー性皮膚炎の犬におけるマイクロRNAの発現を観察した研究

投稿者:武井 昭紘

マイクロRNA(microRNA)は、循環器科消化器科泌尿器科腫瘍科など、実に様々な獣医学の分野にて、診断・予後判定マーカーとして有用であると注目されている遺伝子調整因子で、今後の獣医療レベルを大幅に引き上げることが出来る力を秘めたもの大きな鍵として認識されている。一方、話は変わるが、一次診療施設で良く遭遇する犬のアトピー性皮膚炎(Canine atopic dermatitis、AD)に関する遺伝子学的なデータは乏しいのが現状である。

そこで、ヨーロッパとアメリカの大学らは、生検によって、①臨床上健康なビーグルと②ADに罹患したビーグルから皮膚組織を採取し、このサンプルを用いてmicroRNAの検出を試みる研究を行った。すると、両者の合計で120種類のmicroRNAが検出され、45種類のmicroRNAが①または②に特異的に発現していることが明らかになったとのことである。

上記のことから、皮膚組織においても、冒頭に記した前例と同じく、疾患の有無に呼応するようにmicroRNAの発現が変動することが窺える。よって、今後、ADの犬を対象にして更なる研究が進み、microRNAの発現と、重症度や治療反応性との間にある関連性について調べられていくことに期待している。

本研究で検出されたmicroRNAの中には、ADとその他の皮膚疾患を判別するものが含まれているかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32219493


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