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犬の行動学~彼らがヒトの感情を察していることが窺える研究~

投稿者:武井 昭紘

嬉しい時。
怒っている時。
哀しんでいるいる時。
楽しい時。

オーナーが様々な感情を表しながら生活していると、その近くに居る愛犬は、まるで言葉や想いが通じているかの如く、あるいは、オーナーと一心同体であるか如く、皆様の気持ちに応えるようにして、何らかの反応を示すことがあるのではないだろうか。加えて、この時、『果たして、彼らは、どれ程の強い感情を抱いて行動しているのか?』と疑問に抱くヒトも少なくなく、その疑問をオーナーから投げ掛けられた獣医師も居るものと推察する。そこで、本稿では、強い感情のレベルを理解するべく、アリゾナ州立大学が行った犬の行動学に関する研究を紹介したい。

 

なお、同大学が発表した研究によると、60匹の犬とオーナーに協力を仰ぎ、以下の3条件における犬の行動を観察したとのことである。

◆犬の行動を観察する3条件◆
①箱の上に座っているオーナーが助けを求める(distress test)
②箱の中に大好きな食べ物(報酬)を入れる(food test)
③箱の中に入ったオーナーが小さな声を出す(reading test)

そして、結果はと言うと、犬たちは、②で食べ物を箱から回収する行動と同じくくらいの頻度で、①で苦しむオーナーを助けるために箱を開け、③では、その行動(箱を開ける)を起こすことが少なかったというのだ。

 

上記のことから、目の前で苦しむオーナーを助けたいと想う犬の感情は、大好きな食べ物を見付けることと同じくらい強いレベルのものであることが窺える。よって、悲しく辛い経験をしたオーナーは、それを自分のことのように心配する愛犬が傍に居るということを忘れずに、彼らの案ずる気持ちを解消するためにも、一日でも早く立ち直る方法を「ゆっくりと着実に」探して頂けると幸いである。

行動観察を繰り返す度に、②では箱を開ける時間が短くなった一方で、③では、その時間が変わらなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32298391


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