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犬におけるリンパ濾胞増殖を伴う慢性胃炎と呼吸器のトラブルの関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

アメリカのペット保険会社Nationwideによると、パグやフレンチ・ブルドッグなどが属する短頭種は、あらゆる病気に罹りやすいという。また、一方で、王立獣医科大学(RVC)によれば、短頭種気道症候群の個体に頻発する胃腸のトラブルは、鼻孔拡張術の適応によって解消するとされている。つまり、短頭種において、呼吸のしづらさと消化器疾患は、未知のリンクによって繋がっていると言えるのだ。

そのような背景の中、ヨーロッパの大学らは、慢性胃炎(chronic gastritis、CG)の犬に起きている病的現象を解析する研究から、そのリンクの一つとなり得る事実を発見した。なお、具体的には、120匹の犬を臨床症状、内視鏡検査、病理組織検査(上部消化管)の所見によって比較したところ、リンパ濾胞増殖(lymphofollicular hyperplasia、LFH)を呈する症例グループは、短頭種で大部分が占められており、吸気性呼吸困難や運動不耐性を認める個体が多かったとのことである。

上記のことから、リンパ濾胞増殖を伴う慢性胃炎と吸気性呼吸困難(短頭種気道症候群)との間には、何らかの関係性があるものと思われる。よって、今後、その関係性の有無が追究され、愛犬(短頭種)とオーナーを悩ませることのある胃腸トラブルの解消方法が考案されることに期待している。

LFHが起きていないグループに比べて、起きているグループの年齢は、有意に若いとのことです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.256.8.906


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