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家族性糸球体腎炎に罹患するドーベルマン・ピンシャーの尿性状に見られる特徴

投稿者:武井 昭紘

ドイツ原産の大型犬ドーベルマン・ピンシャー(ドーベルマン)は、肝炎、心筋症、カラーダイリューションなど、様々な遺伝性疾患に罹りやすい犬種として知られており、家族性糸球体腎炎も「様々な疾患」の一つに挙げられる。そのため、家族性糸球体腎炎を抱えている、あるいは、将来抱えるかも知れない個体を繁殖に用いることは望ましくないということになるのだが、当該疾患の有無・リスクを把握するためのマーカーは、現在、充分に確立されていないのが現状である。

 

そこで、ポーランドの獣医科大学らは、タンパク尿を呈しているドーベルマンの尿に含まれる以下の3つの物質の濃度を測定し、尿中クレアチニン濃度との比を算出して、臨床上健康な個体のそれと比較する研究を行った。

◆尿中クレアチニン濃度との比を算出された物質◆
①免疫グロブリンG(urinary concentrations of immunoglobulin G、uIgG)
②レチノール結合タンパク質(urinary concentrations of retinol-binding protein、uRBP)
③タム・ホースフォールタンパク質(urinary concentrations of Tamm-Horsfall protein、uTHP)

すると、臨床上健康な個体と比べて、タンパク尿を呈しているドーベルマンの尿では、①と②が有意に高い値を示すことが明らかになったとのことである。また、①に限れば、臨床上健康な個体から検出できないことも判明したという。

 

上記のことから、①は、腎障害を疑うドーベルマンを特定するマーカーになり得ると言える。よって、今後、家族性糸球体腎炎と診断されたドーベルマンとその他の疾患に罹患したドーベルマンにおける①を比較する研究が実施され、①の有用性が更に詳しく解析されることを期待したい。

タンパク尿を呈しているドーベルマンは、UPCが1以下の個体と1を超える個体が同数で構成されていたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32258816


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