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特発性てんかんに対する食餌療法を応用した栄養補助食品

投稿者:武井 昭紘

イギリスの王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)が発表した論文によると、中鎖トリグリセリド(medium-chain triglycerides、MCT)は、特発性てんかん(idiopathic epilepsy、IE)に罹患した犬が起こす発作の頻度を減少、あるいは、消滅させる効果を持っているという。そのため、現在、日本を含めた世界各地で、この成分を配合した「てんかん治療用」の療法食NC NeuroCare™ Canine Formula(NeuroCare™)がリリースされており、薬剤とは異なるアプローチによる「てんかん」の治療法を提供しているのだ。しかし、この療法食には、大きな欠点がある。それは、流通している全ての療法食にも言えることで、罹患犬が食べてくれないと効果が発揮できないということである。

そこで、RVCをはじめとするヨーロッパの大学らは、MCTを普段食べているフードに混ぜる栄養補助食品として用いて、その有効性を検証する研究を行った。なお、同研究では、過去3ヶ月間で3回以上の発作を起こすIEの犬28匹を対象にして、3ヶ月に渡るMCTの給与が実施されているとのことである。すると、コントロール群に比べて、MCT給与群では有意に発作の頻度が減少し(個々にみると11例では頻度の変化は無し)、うち2例では発作を認めることがなかったというのだ。

上記のことから、MCTは、IEを抱える犬の発作頻度を維持する、あるいは、軽減する効果を持っていることが窺える。よって、今後、NeuroCare™を食べない罹患犬に向けて、MCTを含む「てんかん治療用」の栄養補助食品が製品化されることに期待している。

本研究で用いたMCTは、摂取カロリーの9%分の熱量を占めるように調整され、給与されたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32293065


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