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猫の心エコー図検査において注意するべきポイントに関する研究

投稿者:武井 昭紘

『猫の聴診や心エコー図検査は難しい。』

動物病院での診療業務に慣れていない新人獣医師の多くが、猫に対して、このような印象を抱いているのではないだろうか。具体的には、身体検査で心雑音が聴こえる気がするが超音波検査で原因が特定できない、臨床上健康な猫なのに心エコー図検査で血流動態が変化しているなど、悩みは様々であろう。そこで、本稿では、猫の心エコー図検査において注意するべき一つのポイントについて検証した研究を紹介したい。

なお、同研究を発表したイギリスの動物病院らによると、心疾患を持たない60匹以上の猫を対象にして、トランスデューサーで胸部に圧力をかけながら右室流出路の血流速度を計測したところ、圧力をかけないで計測したものと比べて、速度が約1.8倍に上昇したとのことである。

上記のことから、猫の胸部に一定以上の圧力が加わると、心臓における血流が変化してしまうことが窺える。よって、冒頭に記した悩みを抱えながら診療にあたっている獣医師は、猫の胸部にかける圧力を弱めて聴診し、あるいは、心エコー図検査を実施してみると、その悩みが解消されるかも知れないと思われる。

胸部に圧力をかける操作を行っても、心拍数は変化しなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32343450


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