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犬の歯周炎を治療できる可能性を秘めたクルクミンに関する研究

投稿者:武井 昭紘

歯周病は、1歳齢以上の犬における極一般的な病気で、一次診療施設でも非常に良く、毎日のように診察する機会のある歯科疾患である。そのため、ペット業界ではデンタルケアグッズを、そして、小動物臨床では歯周病に対する「より有効な」治療薬を開発する動きが活発であり、歯科治療は、これから先、更に発展を遂げる可能性を秘めた分野の一つになっている。

そのような背景の中、ストーニーブルック大学(ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校)は、自然発症した歯周炎(歯を支える歯周組織の炎症)を抱えるビーグルを対象にして、ヒトの歯周病予防に効果があると言われ既に製品化されている成分、クルクミン(化学構造は新規のものでCMC2.24と名付けられている)の有用性について検証する研究を行った。すると、クルクミンを投与していないプラセボ群に比較して、投与群の歯周組織では、歯周病を悪化させるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-2およびMMP-9の活性が減少し、組織破壊を評価するスコアが低下することが明らかになったとのことである。

上記のことから、今回紹介した研究で用いたクルクミンは、歯周炎の進行を喰いとめる効果を有しているものと考えられる。よって、今後、CMC2.24を含有したドッグフードあるいはサプリメントが開発され、犬のデンタルケア・歯科治療の選択肢が増えることに期待している。

供試犬は、クルクミンを投与される前に、スケーリングとルートプレーニングによって治療されているとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32104105


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