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犬における乳腺腫瘍の予後と体型との間にある関連性を明らかにした研究

投稿者:武井 昭紘

犬に発生する乳腺腫瘍は、ヒトのそれを研究する上で、大変に有用な情報を提供する重要なモデルであるとされている。故に、人医療および獣医療いずれでも、犬の乳腺腫瘍に関する研究は盛んとなっているのだが、この事実を視点を変えて見つめると、つまり、ヒトの乳腺腫瘍も、犬のそれを研究する上で良いモデルとなるのではないかと考えることもできるのだ。そして、このように発想したピサ大学が、ある研究を発表した。

なお、同大学によると、肥満が閉経後のヒトに乳がんを発生するリスクファクターであることに着目して、犬の乳がん(canine mammary carcinomas、CMCs)とボディコンディションスコア(body condition score、BCS)との間にある関連性を調べる研究をしたところ、①標準的な体重(9段階で4~5)に比べて、②過体重(6~7)または③肥満(8~9)は組織学的なグレードと正の相関を示し、①の犬よりも、②③の犬では、乳がんに関連した生存期間の有意な短縮が起きることをが明らかになったとのことである。

上記のことから、高いBCSは、CMCsの組織学的グレードを上げ、予後を悪くすることが窺える。よって、犬の福祉を向上するためにも、CMCsの治療成績を改善するためにも、彼らの体重が標準になるように管理することが、非常に重要なことであると考えられる。

本研究では、市販食を与えられた犬よりも、自家製食を与えられた犬の方が、BCSが高くなりやすいことも分かっております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32202386


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