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ウサギの下垂体のサイズ・形状を測定しデータ化した研究

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床における診療対象動物と疾患には、犬の副腎皮質機能亢進症、猫の先端巨大症など、内分泌機能の中枢である下垂体の腫瘍に伴う病態が含まれており、これに対して診断を下す際には、画像検査が重要な役割を担うことが知られている。そして、おそらくは、犬猫に次いで多く飼育されているウサギにも、稀ではあるが類似した病態が起きるとされ、検査の重要性も同様であると言われている。だが、しかし、ウサギの下垂体の画像検査を有用なものとするための臨床データの蓄積は充分とは言えず、これから先の獣医学が克服するべき課題として残されている。

そこで、ニューヨークに拠点を構えるアニマルメディカルセンターは、60羽以上のウサギ(約9ヶ月~14歳齢)を対象にして頭部CT検査を実施し、彼らの下垂体の形状をデータ化する研究を行った。すると、下垂体の高さおよび幅は、それぞれ、4.22±0.57mmおよび4.48±0.71mmだと判明するとともに、脳面積に対する下垂体の高さの比は、犬猫のそれに比較して大きいことが明らかになったとのことである。

上記のことから、犬猫とウサギの下垂体の形状は異なることが示唆されたものと思われる。よって、ウサギの画像検査を高精度化するために、犬猫の参照値とは別に、彼らの下垂体に関する「独自」の参照値が設定されていくことに期待している。

今回紹介した研究が、ウサギの下垂体疾患に関する知見を増やすキッカケになることを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32170792


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