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犬の脾臓に発生する腫瘍性疾患における「3分の2ルール」のアップデート

投稿者:武井 昭紘

獣医学的な常識と言われる先生方も多いと推察するが、国家試験に備えて勉強に励む獣医学部生、今年の春から晴れて新人獣医師となった皆様に向けて、敢えて言葉にする。

犬の脾臓に発生する腫瘍性疾患には、「3分の2のルール」が存在している。

具体的に述べると、犬の脾臓に腫瘍を発見した時、それは3分の2の確率で悪性であり、その悪性腫瘍のうち3分の2が血管肉腫であるという至極シンプルで、非常に覚えやすい端的なルールだ。

しかし、イギリスの王立獣医科大学(RVC)によると、このルールには、まだ続きがあるようなのだ—–。

 

 

過去10年間にも昇る診療記録を統計学的に解析した同大学は、犬の脾臓に発生する腫瘍性疾患に纏わる「追加の」3分の2のルールを以下の通り確認したとのことである。

◆3分の2のルールのアップデート◆
・脾臓の腫瘍の3分の2は偶発的に発見される
・脾臓の血管肉腫を発症する個体の3分の2はオスである
・血管肉腫を罹患した個体の3分の2は血腹症を起こさない(3分の1は血腹症を起こした)

 

上記のことから、国家試験または診療業務の中で覚えることの多さに戸惑い、焦り、混乱しそうな獣医師(候補者を含む)には、今回紹介した覚えやすい3分の2のルールを記憶に留めておくことをオススメする。そして、その知識を、国家試験や臨床現場で役立てて頂けると幸いである。

今回対象となった症例の3分の2(79%)は不妊・去勢手術を受けていたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32043696


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