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犬の肘関節に起きる疾患に関する疫学を明らかにした統計学的研究

投稿者:武井 昭紘

イギリスの王立獣医科大学が運営する大規模臨床データベースVetCompassを用いた統計学的研究(疫学)が、また一つ発表された。今回は、犬の肘関節に起きる疾患についてだ。なお、詳細は以下の通りである。

 

◆犬の肘関節に起きる疾患の疫学◆
・45万匹以上の犬を調査した
・約800件の症例が研究に参加している
・1次診療施設で診察している犬の0.6%に肘関節のトラブルが確認できた
・症例の60%以上が両肘を患っていた
・最も一般的な症状は跛行(76%)、運動が困難になること(20%)、疼痛(14%)であった
・40%を超える症例が安楽死で亡くなっていた
・リスクファクターは性別(オス)、加齢、去勢・不妊手術、体重増加であった
・最もハイリスクな犬種はロットワイラーである

 

上記のことから、誠に残念ではあるが、肘関節のトラブルは、罹患犬の生存期間が短くなるキッカケとなってしまっていることが窺える。よって、彼らの幸せなペットライフを支援し、福祉を向上するために、去勢・不妊手術後の体重増加に関する「充分過ぎる」啓蒙を行うなど、リスクファクターを考慮した予防医療(肘関節の疾患を予防する方法)を考案することが、急務の課題であると思われる。

レトリバー種、ジャーマン・シェパード、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルもハイリスクな犬種に挙げられておりますので、該当する犬種の診察を担当する獣医師は、そのオーナーに、今回紹介した疫学を参考知識として提示することが望ましいのではないでしょうか。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/Media/Default/VetCompass/200204%20Elbow%20disease%20infographic.pdf


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