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VetCompass™に登録されたビッグデータの解析が示したチワワにおける性差

投稿者:武井 昭紘

イギリスの大規模な小動物臨床データベースVetCompass™によると、全犬種の出生頭数に対するチワワの出生頭数の割合は、1%未満であった2006年から年を重ねる度に上昇し、10年後の2015年には5%を超えるまでに達しているとのことである。つまり、世界で最も小さい品種の一つであるメキシコ原産のチワワは、英国内にて高い人気を誇り、その地位を確立しつつあると言えるのだ。即ち、当該犬種は、同国で飼育されている人気犬種フレンチ・ブルドッグに起きた悲劇の二の舞を経験する可能性が出てきてしまったということになる。

そのような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、VetCompass™に登録されている30万匹を超える犬を母集団とし、チワワの置かれている現状について統計学的に解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆イギリスで飼育されているチワワの置かれている現状◆
・母集団の約3.5%(約11600匹)の割合を占める
・全犬種の出生頭数に対するチワワの割合は、過去10年間で、5倍以上に上昇した
・寿命(死亡時の年齢)は、中央値8.2歳であった
・メスの寿命(約10歳)よりもオスのそれ(約7歳)が有意に短い
・オスはメスよりも有意に様々な疾患に罹患しやすい(詳細は文献をご参照下さい)

 

上記のことから、出生頭数が上昇している(人気が高まっている)チワワ全体のうち、オスの個体に偏って福祉上の問題が発生しているような印象を受ける。果たして、彼らの有病率の高さ、寿命の短さの裏には、何が潜んでいるのか。今回紹介した統計学的解析をキッカケにして、その謎の解明する研究が進み、オスのチワワの福祉が僅かであっても向上していくことを願っている。

本研究では、成犬となったチワワの体重は、中央値3.4kgだったとのことです。愛犬の体型・体重評価の参考にして頂けますと幸いです。

 

参考ページ:

https://link.springer.com/content/pdf/10.1186/s12917-020-2258-1.pdf


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