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獣医師を職務とするヒトには精神疾患が多いことを示したアンケート調査

投稿者:武井 昭紘

獣医業(獣医師)とは、動物の命を救うという職務を全うする資格を有する尊い職業である。しかし、残念ながら、多くの国で金銭が流通する現代社会において、獣医業を継続するためには、それをビジネスとして成立させなければならず、そこには、動物の命と何処か懸け離れた印象を受けるストレス、軋轢、確執を生じる複雑な人間関係や業務上のプレッシャーが存在しているのが現状となっている。そして、最終的に、これらに悩みに悩んだ有資格者(獣医師)たちは、自らが耐えられる限界・境界線を越えて、精神疾患を患ってしまうのだ—–。

 

冒頭のような実状の裏付けを得るために、カナダのゲルフ大学は、国内の有資格者の10%を占める1400名以上の獣医師を対象にしたオンラインアンケートを行い、彼らが抱える精神疾患の実態を調査した。すると、一般人で形成された母集団と比較して、獣医師たちは、バーンアウト(燃え尽き症候群)、共感疲労、不安、うつ病を評価するスコアが有意に高い値を示し、精神的な回復力を表すスコアが有意に低下していることが明らかになったとのことである。そして、更に悪いことに、彼らの25%以上、実に4分の1以上(推定の約2~12倍)が、1年以内に自殺念慮(自らの意思とは無関係に『死にたい』という発想が脳内に繰り返し生まれる非常に苦しい心理状態)を経験したことあるといった結果が得られたというのだ。

 

上記のことから、獣医業に携わるヒトは、とりわけ精神疾患を罹患しやすいことが窺える。よって、国は違えど、本国で獣医師を生業としている皆様は、今回紹介した「厳しい現実」を一人ひとりが認識して精神疾患に陥らないために、同じ動物病院で働く仲間(獣医師)をお互いに思いやり、お互いに支え合い、そしてお互いを頼りにしながら働きつつ、時には思い切って職場を変えることも一種の解決策になることを忘れずにいて頂けると幸いである。

統計データ上では、男性獣医師よりも、女性獣医師の方が精神疾患を患いやすいとのことですので、充分にお気を付けください。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31961276


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